2025年の5月2日~3日という短い会期ですが私の作品展覧会を開催しました。
多くの皆様にご覧いただきありがとうございました。
展示の内容は、
「きれい寂び京都×宝塚華の彩」伝統の京染から現代ファブリックアートへ
と題しました陳列品の解説と講演を開催しました。
本会を開催するにあたり主催のピピアめふ公益施設、国際ライフパートナー(株)様
並びに、ご後援を頂きました宝塚市 並びに 神戸新聞社様に感謝申し上げます。
華やかな色・ファッションが似合う街、宝塚に於いて
現代ファブリックアートと伝統的染色作品、
工芸美術作品をお披露目できましたことに感謝を申し上げます。
さて、列品解説講演の表題になっています
「きれい寂び」についてお話をいたします。
「きれい寂び」とは江戸時代初期、千利休や古田織部に茶道を学んだ
武将・茶人でもあった小堀遠州が形づくった美的概念です。
「寂び」ということばは「寂しい」という意味があり、
本来は何かが足りないという意味を含んでいます。
やがて、それは不完全な状態に価値を見いだそうとする美意識へと変化しました。
小堀遠州のイメージした「きれい寂び」の世界は「寂び」を踏まえつつ、
明るい息吹を感じる、あか抜けた美的概念として完成しました。
※「侘び」とは簡素、質素の中から見いだされる美しさ
後世、京染めは、この「きれい寂び」という小堀遠州の美的概念を取り入れて
独自の色彩イメージと美的概念を作り上げました。
その色合いは「彩度は過度に高くないけれど、どこか鮮やかさを感じ、明るく、華やかで、
あかぬけた色調」という和装の色感を生み出しました。
現在、京染めに於ける「きれい寂び」という美意識は和装の色感設計に於いて、
一つの指針として活かされています。
昨今、伝統を守るという言葉を聞くことがありますが、
染めの街、京都に於いて伝統を守るということの真の意味は
「古典的染色を単に模倣することではなく、
今まで誰も見たことがない新しい美を生み出して進んでいこうという先取の気風、スピリット」です。
私はこの新たな美しさを見つける試みとして現代ファブリックアートを選びました。
それは伝統的美意識を敬いつつ、現代という時代にフィットする
新たな美的概念を創出するための挑戦です。
本展示では伝統的京染めの色調、表現「きれい寂び」から
現代ファブリックアートへと続く系譜とその対比を通して
新しい時代の染色の予兆を展示しました。
陳列品解説ではでは、実際の染め物をご覧頂きながら技法や制作意図など解説しました。
1伝統的着物染色について
2工芸美術について 屏風、パネル、やタペストリー
3現代ファブリックアートとして制作した洋服地染色・ファッションアイテム制作について
4型染の小箱について
5染めの道具について
またこのような機会がございました際には、ぜひお越しください。